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【第3回 医療と産業の国際交流シンポジウム in関西】開催

2013年9月7日、一般社団法人医療国際化推進機構主催、経済産業省近畿経済産業局並びに在大阪ベトナム社会主義共和国総領事館 中華人民共和国駐大阪総領事館のご後援を賜り、「第3回 医療と産業の国際交流シンポジウム in関西」が大阪大学中之島センターで開催されました。生憎の雨模様のお天気で、しかも土曜日の夕方からの開催にもかかわらず前回同様に100名を超える多くの参加者を得て開催することが出来ました。ご参加の皆様誠に有難うございました。

過去に開催の第1回、第2回シンポジウムでは、医療の海外事業展開を既に行っている3人の先駆者の皆様からの事業成功のポイントとビジネスモデルについて、又、医療の国際化に向けたビジネス展開をより迅速に具体的な戦略立案に役立てて戴けるように、国主導で、国主導と民間主導の協力体制について、関西での医療特区の進展状況についてご講演戴き、今後この分野に参入するにはどこがチャンスなのか、実際に海外に進出する際の疑問点に対し、3名の講師の方々から具体的な事例紹介と成功へのポイントを質疑応答を含めて議論を深めてきました。

今回は更に一歩進めて再生医療の実用化・産業化に向けて、これからの医療国際協力について、海外での医療産業の具現化に向けた総合健診車を使っての具体的事例についてのご紹介を含めて、3名の講師の皆様から大変示唆に富む素晴らしいご講演を戴きました。

-経済産業省 製造産業局 生物化学産業課長 江崎 禎英様
-一般社団法人Medical Excellent JAPAN 理事長 山本 修三様
-社会医療法人財団エム・アイ・ユー麻田総合病院理事長 麻田 ヒデミ様

今回も吉川敏一座長(当機構理事長)リードのもと、それぞれのテーマについて各自45分のご講演と10分の質疑応答で進めたシンポジウムですが、あまりにも熱心な議論と次から次へと的を射た参加者からの実務に裏打ちされた貴重なご意見に全員時間を経つのも忘れた大変有意義で意味ある3時間でした。
以下に3人の講師の皆様のご講演内容を紹介させて戴きます。

再生医療の実用化・産業化に向けて

江崎 禎英様からは「再生医療の実用化・産業化に向けて」と題してiPS細胞等の研究では世界のトップレベルにあるものの、実用化では欧米、韓国に比べて著しく遅れている現状と再生医療への期待と規制改革の方向性を具体的に示して戴きました。特に、関連する医師法、医療法、薬事法がカバーする範囲と再生医療の関係を整理し、新法による医療機関から外部機関への培養加工の委託の実現、薬事法の改正による安全性の確認と有効性の推定で市販を可能とする早期承認制度の導入について解説をして戴きました。こうした制度改正によって日本への投資を考える機関が海外で大幅に増えるといったお話がありました。さらに、再生医療の周辺産業は2050年には日本で1.3兆円(現在は170億円)、世界で15兆円(現在は2,400億円)と見込まれ、一刻も早く日本がリードするための取り組みが必要な状況についてご講演戴きました。

新しい医療国際協力について

山本 修三様からは「新しい医療国際協力について」と題して、医薬品、医療機器共に輸入が輸出を大きく上回る大幅な貿易赤字(2011年で2兆9703億円の赤字)となっている国の状況、日本の製薬事業が欧米に比べ小規模企業であること、医療市場は世界人口の増加、新興国での経済水準の向上から、又、高度な医療サービスへの需要の高まりから継続した成長が見込まれていることをご教示戴きました。安倍内閣では「わが国が世界最先端の医療技術・サービスを実現し、健康寿命世界一を達成すると同時に医療、医薬品、医療機器を戦略産業として育成し日本経済再生の柱とする」事を目指し「健康・医療戦略室」が設置され、又、国際医療協力の事務局として平成25年4月23日付けでMEJ(Medical Excellence JAPAN)が設立された。MEJの活動事例としてウラジオストックと北海道北斗病院との画像診断センターの事例紹介があり、医療技術・サービスの国際展開の中核組織としての今後の活動指針と事業予定をご講演戴きました。

総合健診車を使っての海外医療産業の展開の可能性

麻田 ヒデミ様からは「総合健診車を使っての海外医療産業の展開の可能性」と題して社会医療法人財団エム・アイ・ユーを構成する瀬戸健診クリニックとディジタル健康診断システムを活用して年間40万人の健診データの管理を行っている。中国とは個人的な縁がきっかけで上海交通大学医学部付属児童病院と友好協定を締結以来継続して交流を深めてきた、事業は中国側の要望である、
1.中国での健診の展開
2.中国人医療従事者の日本の医療機関での研修受け入れ
3.日本の高度医療受診のためのスクリーニング
をもとに実績ある健診事業を北京21世紀病院,チベット地区ラサで行っている。事業を通じ現地の人材育成の要望は強く、経験から感じた海外展開出来る医療サービスとは個人の患者に対する日本の高度医療の提供、医療機器の販売、医療従事者の育成・教育、医療データの分析や活用方法の提案、レントゲン読影その他の診断技術にまとめる事が出来る。一方で海外での販売に関連した許認可制度、海外現地の習慣風土に即したシステムの改修等実務経験からの課題も含めてご講演戴きました。

第2部の情報交換会でもシンポジウムご参加の多くの皆様が会場以上に講師の皆様、吉川理事長、浮舟副理事長も含めて活発な意見交換と相互交流が行なわれました。まだまだ意見交換と交流を深める時間が欲しかったのですが、名残惜しさ一杯の内に第3回シンポジウムの閉会とさせて戴きました。

次回のシンポジウムですが12月前半を予定しております、次回も産業界、関係省庁、医療各界の優れた講師の方々にご講演戴き、新しい時代に向けた視点、知見、先端事例等をご紹介する予定でただいま準備を進めています、近日中にはご案内できると思いますのでどうぞご期待下さい。

(文責  医療国際化推進機構 顧問 金田 治)