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「医療と産業の国際交流シンポジウム in関西」開催

当機構の事業の柱の一つとして企画してきました医療国際化に関するシンポジウムの最初として「医療と産業の国際交流シンポジウム in関西」が2013年1月26日に大阪で開催されました。医療・福祉関係の企業や病院関係者を含め、約160名のご参加を頂き、会場はほぼ満席の状態でありました。

シンポジウムの第1部「医療国際化の先進事例紹介」では、中国・青島とインドネシア・ジャカルタ等で日本のケアサービスを展開されているロングライフホールディング株式会社社長の遠藤正一氏、経済産業省のプロジェクトでカンボジア初となる総合医科大学と付属病院の建設に尽力されている医療法人社団KNI 理事長北原茂実氏、アジア最大手の病院グループに資本参加された三井物産株式会社の医療サービス事業室長横山賀一氏の3名の講師から講演していただきました。非常に内容の濃い、盛りだくさんな内容でしたが、簡単にそれぞれのご講演をまとめさせていただきます。

“癒し”が感じられるサービスを提供

遠藤正一氏からは介護サービスの質に関して、介護を受ける側の目線から根本的に見直し、本当に求められているサービスとは何かを一から考え直すところから始めたことなど、これまでの苦労を交えて非常に具体的で力強いお話がありました。そしてその結果、欧米型や北欧型の介護サービスとは全く次元が異なる“癒し”が感じられるサービスが提供できるようになり、海外、特にアジアを中心にした市場において、非常に魅力的なパッケージを提供することが出来るようになったとのお話でした。

国際的な視野で企業間と密接な連携を

北原茂実氏は現在の日本国内における皆保険制度の限界や問題点について言及され、日本には高度な医療技術があるにもかかわらず、それを産業として海外に輸出する事を困難にしている根本的な原因がその皆保険制度である、そしてそのことに国が気づいていない事が最も大きな問題である事を強調されておられました。日本の高度な医療技術を産業として発展させていくためには、国際的な視野で企業間と密接な連携をとり、特にコスト面で現地の事情を踏まえた医療機器の導入やシステムの構築が大切であり、その具体的な事例としてカンボジアでの病院設立のご経験をお話しいただきました。

タイ、インドネシア、シンガポールなどの病院に日本の医師を

横山賀一氏からは三井物産が展開している海外での現地企業との合弁会社設立を通じて世界中で病院経営に参入していくシステムについてお話があり、合弁会社の出資比率の問題や経営にどこまで深く関わっていくか等、他の場所では聞けないことまでお話していただきました。なかでも、タイ、インドネシア、シンガポールなどの病院に日本の医師を派遣する事業を展開していくことにも言及され、今後日本の若手医師がそういった場でこれまでとは違った形で能力を発揮する事ができる可能性も示唆されていました。

そして、引き続き第2部のパネルディスカッションに移りました。

パネルディスカッションでは、座長の吉川理事長の進行で、第1部の3名の講師に、同機構理事の滋慶学園グループ総長の浮舟邦彦氏、同じく国際弁護士の井垣太介氏が加わり、計5名のパネリストにより「医療介護産業の海外展開」をテーマに討論が行われました。医療産業の要となる人材育成の問題、合弁会社設立に至る契約上のリスク回避などについて問題提起され、会場の大勢の参加者とともに活発な討論が行われました。また、アジアだけではなく、メキシコやキューバなどの中南米の国々も視野に入れ、それぞれの国の制度に応じたやり方を既に考えていることなども話題としてとり上げられていました。

パネルディスカッションの時の会場からの活発な質問、そしてその後の情報交換会におきましても、時間を惜しむように大勢の方が活発に交流されておられたのが非常に印象的で、主催者側としては大変うれしい結果となりました。

今後、さらに参加者にとって有意義なシンポジウムとなるよう、すでに第2回、第3回まで企画立案中です。どうぞお楽しみに。

(文責 理事 木村 修)